「就職率」と「主な就職先」の読み方 分母のちがいに注意
就職率は、何を分母にするかで数字が変わります。大学が公表する進路データの読み方と、主な就職先を見るときの注意点を、仮の数字の例でわかりやすく説明します。保護者や先生にも役立ちます。
大学は進路の情報を公表している
大学は、学校教育法施行規則にもとづき、入学者の数、卒業者の数、進学者数・就職者数などの進学及び就職等の状況を公表することになっています。多くの大学では、公式サイトの「情報公開」のページや、就職・キャリアのページに載っています。
また、国全体の進路の数字は、文部科学省の「学校基本調査」で毎年まとめられています。大学が公表している数字と、国の統計とでは、数え方がちがうことがあります。
就職率の「分母」を確かめる
同じ大学でも、分母をどう決めるかで、就職率は変わります。次の数字は、説明のための仮の例です。
仮の例:ある学部の卒業生が100人いて、進学が10人、就職を希望した人が80人、そのうち就職が決まった人が76人の場合。
| 計算のしかた | 分母 | 就職率 |
|---|---|---|
| 就職者 ÷ 卒業者全体 | 100人 | 76% |
| 就職者 ÷ (卒業者 − 進学者) | 90人 | 約84% |
| 就職者 ÷ 就職希望者 | 80人 | 95% |
どれもまちがいではなく、数え方がちがうだけです。ですから、大学の数字を見るときは「分母は何ですか」と確かめる必要があります。ほかの大学と比べるときは、同じ分母どうしで比べなければなりません。
「主な就職先」の読み方
大学の紹介には、「主な就職先」として企業名が並んでいることがあります。この一覧を見るときは、次の点に注意しましょう。
- 何年度のものか:数年分をまとめたものか、1年分かで、印象が変わります。
- 人数が書いてあるか:企業名だけでは、1人なのか、数十人なのかが分かりません。
- 学部ごとか、大学全体か:大学全体の一覧だと、自分が入る学部の進路とはちがうかもしれません。
- 一部の抜粋か:「主な」とあるので、全体ではありません。
また、就職先の企業名が、大学や学部の教育の成果をそのまま表しているわけでもありません。就職先は、本人の希望、景気、地域など、いろいろな事情で決まるからです。
大学の公式データを見るときの手順
資格が関わる学部では
看護・薬学・教員養成のように、国家資格や免許に結びつく学部では、「就職率」のほかに、国家試験の合格者数や教員採用の状況が公表されていることがあります。この場合も、分母(受験者数なのか、卒業見込み者なのか)を確かめましょう。受験者に限った数字は高く見え、卒業見込み者を分母にした数字は低く見える、ということがあります。合格の数字は、学びの質の判断材料の一つにすぎません。
保護者・先生の方へ
就職率の数字を見て「高い・低い」と判断すると、本質を見失いやすくなります。生徒さんには、数字より先に「この学部で何を学び、卒業後にどんな道があるか」を話し合ってもらうとよいでしょう。進路データは、学びの内容を確かめたあとの、確認の材料として使うと役に立ちます。
次にやること
出典・参考にした公式情報
この記事の学問を学べる大学
大学・学部の情報は、大学の公式発表と公的機関の資料をもとに確認日を添えて載せています。学費・入試・制度は変わることがあるため、最新の情報は各大学の公式サイトでご確認ください。