理学部と工学部、何がちがう? 学びの向きから考える
理学部は「なぜそうなるのか」を探り、工学部は「どう役立つものをつくるか」を考える、と整理されることが多い二つの学部。重なりも大きいので、見分け方と調べ方をまとめます。
二つの学部は、向いている方向がちがう
理学部と工学部は、どちらも数学や物理、化学を土台にする「理系」の学部です。ちがいは、学びの向いている方向にあります。
編集部は、おおまかに次のように整理できると考えます。
| 理学部 | 工学部 | |
|---|---|---|
| 問いの出発点 | 自然や数のしくみは、なぜそうなっているのか | 課題を解くために、何をどうつくるか |
| 学ぶ対象の例 | 数学、物理学、化学、生物学、地学 | 機械、電気・電子、情報、建築、材料など |
| 学びの中心 | 原理や法則を調べ、確かめる | 原理を使って設計し、試して改良する |
これは目安です。大学や学科によって、理学部にも「ものづくり」に近い研究があり、工学部にも「原理を深く掘る」研究があります。
国の制度では、別の「分野」として扱われる
文部科学省の告示では、大学が授与する学位は17の「学位の分野」に分けられています。その中に「理学関係」と「工学関係」が別々に置かれています。新しい学部をつくるとき、この分野の区分が判断のものさしのひとつになります。
また、学位規則の第10条は、大学が学位を授与するときに「適切な専攻分野の名称」を付けるよう定めています。卒業のときに「学士(理学)」や「学士(工学)」のように書かれるのはこのためです。付ける名称は大学ごとに決まるため、学部名と一致しない場合もあります。
同じ名前の分野でも、見え方が変わる
同じ「化学」でも、理学部では物質の性質や反応のしくみを調べる研究が中心になります。工学部の応用化学や材料系の学科では、その知識を電池や素材などの開発に結びつける研究が多くなります。
物理学と電気・電子工学の関係も同じです。電気や磁気の法則を調べるのが物理学、その法則を回路や装置に生かすのが電気・電子工学、という見方ができます。
学科名で見分けるコツ
- 「〜学科」に「工学」「応用」「システム」「デザイン」がつくと、つくることや使うことに近づきやすい
- 「数学」「物理学」「化学」「生物学」「地球」など基礎の名前が並ぶ学科は、原理を学ぶ比重が大きい
- ただし例外も多いので、学科の説明ページで確かめる
迷ったときの調べ方
- 好きな問いを書き出す。 「なぜ星は光るのか」は理学寄り、「もっと軽くて丈夫な素材をつくりたい」は工学寄り、というように、自分の気になる問いを言葉にします。
- 気になる大学の学科ページを2〜3校見比べる。 授業科目の一覧と、4年生の研究室の紹介まで読みます。
- 「進学」を含めて考える。 理系は大学院へ進む人が多い分野です。大学院を含めた学び方は、各大学が公表している進学状況で確かめます。
理系の学びを広く見るために
理学と工学のあいだには、学部や学科の名前が変わった新しい分野もあります。たとえば情報、データサイエンス、環境などは、理学部にも工学部にも、また独立した学部にも置かれています。名前が同じでも、どの学部に属するかで科目の組み立てが変わることがあります。
次にやること
出典・参考にした公式情報
この記事の学問を学べる大学
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